宿泊療養施設への看護師派遣

新型コロナウィルス感染症の5類移行に伴い、熊本県に11か所設置されていた宿泊療養施設が集約されました。天草の施設には、開設当初から1年2か月の間、当院から4名の看護師を交代で派遣しました。

派遣看護師レポート

宿泊療養施設の看護をとおして

看護師  荒木 真由美

 熊本県に11か所あった新型コロナウィルス感染症宿泊療養施設のひとつである天草支部は、2022年1月に開設され2023年2月28日をもって閉鎖されました。その期間、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層に及ぶ約1,200名の方に利用いただきました。私は5か月間に渡り派遣業務を行いました。

主な仕事内容としては、療養者の24時間の健康管理を行うことです。そのため、1日2回、健康状態を電話で聞き取りを行いました。聞き取った内容をもとに発熱、呼吸器症状、基礎疾患やBMI等重症化リスクも含め、療養を継続するか入院が必要か、医師へ1日3回状態を報告して話し合いを行いました。

最も大変だったことは、療養者との電話でのやり取りの中で、顔や状態がわからない相手の健康状態を把握することでした。声のトーンや息遣い等から電話での療養者の様子を想像し、入所にいたる経緯や内服薬、既往歴等含めて総合的に判断しました。

病院では顔色、表情、しぐさ等、相手の様子や検査データー、カルテ等の相手を知るための情報が揃っています。しかし、療養施設では電話での問診だけで情報を得るため、療養者の情報を引き出すために、いろいろな工夫、アセスメントが必要でした。顔が見えない相手に対して、電話の問診からアセスメントするというのは、臨床現場の経験だけではなく、人生の様々な経験がとても必要だと感じました。とても勉強になり、看護の幅が広がったと思います。

医療スタッフだけでなく他職員と日々生じる問題をどのように解決していくのか試行錯誤しての連続でした。知識として理解していても、他者にわかりやすく伝える事の難しさも感じました。また同じように派遣された天草内の看護師と意見の交流ができ、多くのことを学ばせていただきました。

このような貴重な体験をさせていただき感謝しています。ありがとうございました。