第6回緊急輸血シミュレーション訓練

産婦人科 川中 みなみ

 産科危機的出血は、妊産婦300人に約1人の頻度で発生するとされ、医療の進歩により減少しているものの、依然として妊産婦死亡の第1位となっています。一般手術などの出血と比較し急速に全身状態の悪化を招きやすく、発症初期の対応が重要とされています。特に、常位胎盤早期剥離(児の娩出より先に胎盤がはがれた状態)などの基礎疾患をもつ産科出血では、中等量の出血でも容易に母体の生命に関わる状態となり得ます。

当院では大量出血の症例に備え、2018年度より緊急輸血シミュレーション訓練を行っています。今回は、常位胎盤早期剝離で出血対応が必要な妊婦さんを想定し、緊急搬入から手術までの対応についてシミュレーション訓練を行いました。実際に訓練を行うと、伝達の難しさや認識を強化すべきところなどがみられ、訓練後に行った反省会では多職種から多くの意見が挙がりました。私たち産婦人科医師としても、症例に応じて全体の動きを変えていく必要があることを改めて認識し、他スタッフとの正確な連携が大切であることを実感しました。

想定するような大量出血の症例は発生しないことが一番ですが、出産という大きな事象においてどの妊婦さんに起きうる状況です。そのため、初期の対応を予測し訓練しておくことで、この天草という地で一人でも多くの方の生命をつなぐことを目指し、日々診療に取り組んで参ります。

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