「これまでチームで経験した緩和ケアについて」
~「がんを知って歩む会」の立ち上げから現在まで~
熊本県看護協会天草支部集会が7月13日に天草地域医療センターヒポクラートで開催されました。そこで、当院の訪問看護ステーション管理者である川上ゆみ看護師長(緩和ケア認定看護師)の特別講演がありました。
「緩和ケア」とは、WHOの定義では、「生命を脅かす病に関連する問題に直面している成人と小児の患者および家族の苦痛を予防し和らげることである。これらの問題には、患者の身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな苦痛、そして家族の身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな苦痛が含まれる。」とされています。(2018年)
川上看護師長が看護学生時代は「緩和ケア」という講義もなく、ひと昔前では「がんの告知」の考え方も現在とは違い、まずは家族から悪性疾患であることを告げ、本人にどのように説明するか、を家族が決定する時代でした。「告知」という視点で患者を観察すると、告知された患者と、そうでない患者を比較すると、病に対する向き合い方が違うことに気づき、そこからがん看護に興味を持ったということでした。
告知された患者を通して、がんに向き合う患者の不安に寄り添いたいという思いから、2013年に患者と語り合「がんを知って歩む会」を立ち上げたそうです。看護師4人で会を立ち上げた時の思いは、「告知を受けて退院した患者・家族の方に入院中の治療や看護が適切であったか実際に患者さんたちに聞いてみよう。その中で今後のケアの手掛かりが見つかるかも知れない。」と考え、手術をした患者さんの10数人に手紙を出し病院に来てもらったことからがスタートだったそうです。それから回を重ね、患者中心の「ひまわりの会」となったということです。
様々な患者のがんとの闘病の人生にかかわった経験を話され、現在の訪問看護ステーションでの看護や、非がん患者(この日は認知症患者の在宅看護)の在宅看護について講演をされました。 参加者は涙ぐむ人もいて、川上師長の熱い想いは伝わり、「看護ってやっぱり素晴らしい職業だ!」と感じていたようです。訪問看護は「その人らしい看護を提供できる素晴らしさがある!」と思います。これからもご活躍を祈念いたします。
看護部長 古賀 敦子