専門性の高い看護師による同行訪問を実施するための取り組みとその効果

訪問看護ステーション 看護師長 川上ゆみ

現在、様々な抗がん治療薬があり、特に免疫チェックポイント阻害剤は、一般的な抗がん剤の副作用とは違う症状が出現することがあります。2018年4月に腫瘍内科医師が赴任し、抗がん剤を行っている患者の訪問依頼が増えてきました。当院には、がん化学療法認定看護師(以後CNと称す)1名在籍しています。そこで、抗がん剤を行っている利用者に、図1のような観察時のチェックリストをCNと一緒に作成し、継続的なCNの同行訪問を行うことにしました。CNが外来師長の為、CNの勤務に合わせて、訪問日時や主治医の指示日の調整を行いました。同行訪問の目安として、①高齢者(80歳以上)②間質性肺炎や爪・皮膚障害の頻度が高い抗がん剤を行っている利用者 ③免疫チェックポイント阻害剤の治療を受けている利用者 ④治療に関する不安感が強い利用者 ⑤移動時間を含め訪問時間を2時間程度としました。図2は、9月~10月で抗がん治療を行っている利用者の内訳です。D氏とF氏・J氏にCNの同行訪問を行っています。
D氏は、外来受診を2回延期した事があり、急遽CN同行を行いました。CNが告知の場面から関わりを持っていた事もあり、D氏の思いを聞き出し、自分抜きで家族が治療を決めた事が不信感の原因であることがわかりました。後日、CNの同席のもと主治医と本人家族と話し合い治療を中止することになりました。また、J氏は、月1回のホルモン剤注射があります。当院では、その注射薬は、注射部位が決まっており手技を習得した看護師が行っています。CNが注射する事で注射後の皮膚の硬結や発赤がなく経過することができました。内出血の副作用に対しての保湿剤の選択や爪障害予防のための爪の切り方をCNが指導することで副作用の管理や予防ができています。
CN同行訪問の目安を決めたことで、対象者を選択できた事と同行訪問日をCNの業務に合わせた事により、継続した同行訪問ができていると思います。
同行訪問の効果としては、化学療法レジメンを理解している、CNの訪問は、治療の副作用に対する予防・早期発見でき、また、予防や対処方法を利用者・家族が行えるように指導することでセルフケア能力の向上が期待できます。心理面でも病気や治療に対する思いを聞き出し的確に対応することで安心して過ごすことができているようです。外来診察時にCNが同席することで、安心して診察を受けられています。訪問スタッフへの影響としては、観察時のチェックリストは、だれが訪問しても統一した観察ができ異常の早期発見につながったケースもあります。抗がん剤治療に関連した不明な点をCNにタイムリー確認・相談ができ以前より自信をもって訪問ができています。
特に高齢者を対象に、CNの同行訪問を行っているため、治療が中止になり2.3か月で終了するというケースもありますが、在宅で抗がん剤治療を行っている方が安心して生活ができるように支援していきたいと思います。

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図1
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図2
抗がん剤治療を受けている利用者の状況
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訪問看護ステーションの職員