感染防止対策室
感染管理認定看護師
坂本 陽子
感染症法では、感染症について感染力や感染した場合の重篤性などを総合的に考えられ1~5類等に感染症を分類し、感染拡大を防止するために行政が講ずることができる対策が定められています。
2019年12月に中国武漢市で集団発生が報告された新型コロナウイルス感染症は、はじめはワクチンや治療薬等がなく、2類相当の感染症として位置づけられ行政の介入がありました。
今年の5月8日から5類感染症に移行となり、インフルエンザなどと同じ一般的な感染症となりました。その背景には、世界人口の約9割は、感染やワクチンによってある程度免疫を獲得していると推定されていることや、コロナの検査が容易にできる状況になったこと、重症化予防が期待される経口薬の利用ができること等があげられます。
しかしながら、患者の診療ケアに関する基本的な考え方は大きく変わっておらず、医療機関における感染対策は引き続き、気を引き締めておこなっていく必要があります。それはなぜかというと、病院内には、免疫力の低下している患者が多くいるからです。その免疫力の低下している患者に新型コロナウイルスが感染すれば、元々の疾患が悪化し生命の危険にさらされる可能性があるからです。
そこで当院は、『新型コロナウイルス感染症5類感染症の移行に備えた院内感染対策について』というテーマで、4月28日に全職員対象の感染対策研修会を講師坂本で開催しました。職員に新型コロナウイルス感染症が5類に移行したところで感染対策がどう変わっていくかを周知する目的です。
医療機関における医療従事者の役割を説明し、職員自身の健康管理を徹底し、体調不良であればすぐに所属長へ報告・相談し、就業を中止し、受診・検査を受けること。(患者を感染させない)施設内では、適切なタイミングでの手指衛生を実施すること。(患者間の感染を媒介しない)マスクをつけることが不可能な患者の対応には、職員自身の目の粘膜を守ること(職員が感染しない)等を指導しました。しかしながら、皆様もよくご存知の通り、新型コロナウイルス感染症は、発症2日前から感染力があることが感染防止対策を行う上でやっかいな点です。
夜が明けることはまだまだ先になりそうですが、これからも患者のため、家族のため、医療従事者のために、院内感染防止対策に取り組み続けます。