近年，抗がん薬や分子標的治療薬，免疫チェックポイント阻害剤などの新規治療薬，また副作用に対する支持療法の開発など，がん医療技術が発展したことによって，外来や自宅でもがんの薬物治療（がん化学療法）を安全に行うことが可能となりました。がん患者さんの治療と療養の場が，入院から外来，在宅へと移ってきたことによって，がん患者さんが日常生活や仕事と並行して治療を受けることが可能になり，ＱＯＬの維持・向上に繋がっています。 天草中央総合病院では，平成16年に外来化学療法室を開設し，現在では様々な疾患の患者さんが当施設を利用して，外来化学療法を受けています。(図1，2参照)

外来化学療法室スタッフ

天草中央総合病院の外来化学療法室は，看護師2名，薬剤師1名が担当し，多くの診療科からの治療依頼を受け，様々ながん化学療法を行っています。また，歯科・口腔外科や栄養士，社会福祉士などと連携し，患者さんに適切で安全ながん治療の提供に努めています。

～治療を受ける患者さんの看護～

がん化学療法は，がんの早期から終末期まであらゆるがん腫に対して行われます。そのため，がん化学療法を受ける患者さんやご家族が，安心し納得のうえ治療を受けることを決定し，自分らしい生活と両立させて治療が受けられるよう，多職種からなるスタッフによるきめ細やかな支援を行っております。

～薬剤師より～

治療内容や投与量の確認，抗がん薬の無菌的な調製や服薬指導などを通じて，がん化学療法におけるあらゆる薬が効果的かつ安全に使用できるように関わることで，患者さんへ質の高い満足のいく治療を提供させていただきます。 ～栄養士より～ 　　当院では，専任の管理栄養士が毎日担当しており，状態に応じた対処や食品の選択などを一緒に考え，QOLの維持・向上に繋がるよう努めています。治療を開始すると多くの疑問が湧いてきますので，気兼ねなくお尋ねください。

～歯科・口腔外科より～

がん治療では，お口に様々なトラブルが高い頻度であらわれます。月に一度，口腔ケアを行うことで，口腔からの感染を防ぎ，安全・安心してがん化学療法を受けられるようにします。また，抗がん薬治療に伴う口内炎や口腔乾燥などに対応しています。

～訪問看護より～

在宅での病状観察や熱発，食欲不振等何かあったときは病院（主治医）と連携をして対応しています。また，病気に対する不安感や心配事などゆっくりお話をすることができます。

外来化学療法室施設概要

外来化学療法室には，ベッド4床，電動リクライニングチェア1床が整備され，ベッドにはテレビが完備されています。患者さんが安心，快適に治療が行えるように充実した設備を整えています。各ベッドは壁やカーテンで仕切ることで，患者さんのプライバシー保護にも配慮しています。また外来化学療法室の配置を救急外来と隣接することで，緊急時の迅速かつ適切な対応を心がけています。