最新医学シリーズ ~ 1 ~

膝関節手術について

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整形外科診療部長 木山貴彦

 高齢者に多い変形性膝関節症に対して人工関節置換術はもちろんですが、より活動性の高い患者さんや膝骨壊死例(不顕性骨折)には関節温存手術である骨切り術(around the knee osteotomy 図1)を積極的に行ってきました。関節を温存できる利点は大きく、骨癒合が得られれば正座を含めた日常生活、スポーツ活動ともに制限なく許可しており、患者さんの満足度も非常に高いと感じております。強固な内固定材料、優れた人工骨の開発で以前ほど長期の入院も必要としなくなりました。年齢制限は設けておらず早期の変形に最も効果のある術式だと思います。

 膝スポーツ障害に対しましては、関節鏡を用いた前十字靭帯再建術、半月板縫合術、骨軟骨移植などほぼ全ての症例に対する治療を行って参りました。天草はスポーツにとても熱心に取り組んでいる地域だと感じております。これまではスポーツ外傷(膝前十字靭帯損傷など)で手術が必要な患者さんは熊本市内まで行く必要があったとお聞きしました。地元天草で熊本市内や大病院に引けをとらない治療を提供することを目標にかかげ本日まで精進して参りました。当院をスポーツ外傷に対して外科的治療のできる施設の選択肢の一つとしていただけたら幸いです。

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図:高位脛骨骨切り術後のX線写真

開大スペースに人工骨を挿入し強固にプレート固定することでO脚を矯正し、荷重分散が得られ痛みが改善する。