第7回JCHO地域医療総合医学会に参加しました
2022年10月21日・22日に熊本城ホールで第7回JCHO地域医療総合医学会が開催されました。
コロナ禍で延期を繰り返していましたが、メインテーマをウイズウイルス時代の「新しい医療と地域づくり」と題して
JCHO病院を中心に全国から多数の参加者が集結し盛況のうちに終了しました。
首都圏以外で初の地方開催が熊本で開かれたということもあり、当院の職員も多数参加しました。
口演発表やポスター発表を行った発表者より感想や発表内容をご紹介いたします。
JCHO地域医療総合医学会開催に思うこと
第7回JCHO地域医療総合医学会が熊本で開催されました。現在JCHO学会内栄養士会の九州ブロック分科会長を務めており学会運営に携わった経緯からやっと開催でき、安堵しているところです。さて、今回私自身ポスター発表を行わせて頂き、内容を思案するとやはりコロナ禍の栄養指導は外せないと思いました。今ではコロナの特徴なども判明していますが2020年初頭では何の情報もなく年間1,000件近く指導を行う私たちには只々恐怖でしかありませんでした。幸いにもこれまで罹患することはありませんでしたが感染対策の「1.サージカルマスク2.ゴーグル3.アクリル板設置4.換気5.発熱の確認6.終了後の手洗い」等が標準となりました。デジタル化が進んだ現代ではありますが指導はやはり対面が望ましいと考えます。なぜならその場の空気感というものがあり敏感に感じるデジタルでは表せない感覚があると思うからです。みなさんはどう思われますか。
普段私はAST(抗菌薬適正使用支援チーム)の一員として活動しております。今回はそのAST活動を通して、コメディカルからの検査提案を機に診断に至った2例のSFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndorome;重症熱性血小板減少症候群)患者の症例報告をさせていただきました。SFTSは致死率が非常に高い、ダニが媒介するSFTSウイルスによる新興感染症ですが、ヒト‐ヒト感染が報告されていることから、感染対策面においても早期診断が望まれる疾患です。しかしながら、診断検査が行政検査となる手間等から、疑似症であっても確定的要素がなければ検査自体行われないことも少なくありません。そこで今回はコメディカル目線でSFTSを疑ったポイントを整理し、チーム医療でSFTSを見逃さない体制作りの一助になればという想いで発表をさせていただきました。SFTSは特徴的な血液所見の他に消化器症状が高率で見られることや、SFTSウイルスに感受性の高いネコとの接触や好発時期との一致、ダニの刺し口の有無で除外診断できない点などを意識し、疑わしい場合には積極的な検査をお勧め致します。
【目的】BT法では上大静脈からのアーチファクトによりオートスタートした例がみられたため、新たな造影方法として希釈TBT法を導入するための撮影方法を検討した。 【方法】装置の設定をmanualにした状態で一連の造影剤を注入し、希釈割合の違い(2:8および3:7)によるTECの形状を比較した。また、test bolusの形状からmain bolusのピークを推定しトリガー位置を設定したのち、実際のCT値を測定した。 【結果】希釈割合3:7ではTECはなだらかに上昇しピーク時間を決定できるが、2:8ではピーク時間を決定できない例があった。また、main bolusのピーク時間を推定し一連の造影剤注入時間と相関関係があることを確認後、トリガーはtest bolusの立ち上がりに決定した。希釈TBT法でのCT値は従来のBT法と比較して大きな差は見られなかった。 Delay time(s)=[test bolus~main bolus]注入時間-撮影時間/2-2 【考察】終了位置のCT値がいずれも低いのは、main bolusのTECがピークを境に左右対称ではなく、ピーク以降の傾きが大きいためと思われる。また、総造影剤量が増加しているため、test bolusの立ち上がりでトリガーをかけることで希釈割合を2:8に減らすことも可能になると思われる。
学会への参加はJCHOの前進である全社連を通し4回目となり、北海道、東京2回、そして、今回地元熊本での開催でもあり非常に思い出深い学会となりました。 2019年から「産科混合病棟看護師における周産期ケアの困難感に関する調査」というテーマに取り組み、初めてのポスター発表でした。少子化により産科を有する混合病棟は増加し、コロナ禍という状況も加わりケアや業務はさらに複雑化しています。発表後に他施設のスタッフと、それぞれの施設の産科混合病棟の現状や問題点、コロナウイルス感染症産婦対応の取り組みについて情報交換を行うことができました。初めてのポスター発表でしたが、ポスターセッションの利点である距離感の近さを実感しながら有意義な時間を過ごすことができました。また、地元開催であり、当院職員を含めた沢山のJCHOスタッフの協力のもと学会運営が行われていることを間近に感じた学会でした。この場をお借りしてサポートをしていただいた皆様に感謝申し上げます。
新型コロナウイルス感染の影響により、延期に次ぐ延期で、私たちにとっては3年越しの学会発表となりました。東京会場ではなく、熊本会場になったことは当院からの参加も多く、とても心強かったです。 私にとって、学会発表は初めてであり、口頭発表は私たちだけでしたのでとても緊張しました。また、発表までには、論文の修正や発表原稿の見直しなど、様々な方にご指導いただき本当にありがとうございました。質問もいただき、どの施設でも時間外勤務の短縮に興味があるということを実感しました。今後も看護師を続けていく上で、ワークライフバランスをとりつつ、働き方改革の実現に向けて微力ですが頑張っていきたいと思います。今回は学会発表という貴重な経験をさせていただきありがとうございました。
【はじめに】老健施設では、肺炎罹患者が重症化せずに早期に発見と気づきを活かした肺炎を予測するスケール(以下スケール)を平成27年度に作成している。【目的】スケールを活用した実態調査を職員の意識調査を行う。【結果・考察】スケールの結果、状態の変化があった利用者29名中、肺炎罹患者12名。肺炎での入院41%であり、スケールは入所者のいつもと違う気付きをチェックできる。症状別の集計では発熱、活気なし、呼吸器症状が上位であった。施設での気付きの特徴となる姿勢の変化は13項目中5位であった。職員へのアンケートでは、認知度と活用性が低かった。【まとめ】援助の中に健康予防対策はある。スケールの改良をする中で、各スタッフが意識的に観察・ケアの実施ができ、利用者のちょっとした変化に気付けるようになれば理想的である。業務に負担を増やすことなく健康管理を行っていきたい。
訪問看護ステーション 看護師 有江 恵理
今回の学会発表は私自身にとって2回目の参加であり、訪問看護ステーションが開設されてから初めての経験でした。今回認知症で独居生活を維持していくための支援経験から「認知症患者の在宅生活が困難となった事例からの学び」という題目で、人間の「自尊感情と自己存在の関係性」に照らし合わせながら4つの時期に分け分析をしました。自尊感情には3つの軸があり、この3つの軸のバランスがとれると、自己の存在が確かなものになり、崩れると自己存在の不確かさが現れ在宅生活の維持が出来なくなった事例でした。4期に分けたそれぞれの時期に、私たちがどのような支援を行ったかを振り返り、課題を見出すことができました。この課題からの結果を踏まえ今後の業務に活かしたいと思います。今回の学会は地元熊本での開催であり私にとっても貴重な心に残る経験となりました。そしてこの学会を支えてくださった病院関係者、地元スタッフやサポーターの皆様のおかげで素晴らしい発表の場となりましたこと本当に感謝致します。
コロナ禍で延期を繰り返していましたが、メインテーマをウイズウイルス時代の「新しい医療と地域づくり」と題して
JCHO病院を中心に全国から多数の参加者が集結し盛況のうちに終了しました。
首都圏以外で初の地方開催が熊本で開かれたということもあり、当院の職員も多数参加しました。
口演発表やポスター発表を行った発表者より感想や発表内容をご紹介いたします。
JCHO地域医療総合医学会開催に思うこと
管理栄養士 城下 勝孝
第7回JCHO地域医療総合医学会が熊本で開催されました。現在JCHO学会内栄養士会の九州ブロック分科会長を務めており学会運営に携わった経緯からやっと開催でき、安堵しているところです。さて、今回私自身ポスター発表を行わせて頂き、内容を思案するとやはりコロナ禍の栄養指導は外せないと思いました。今ではコロナの特徴なども判明していますが2020年初頭では何の情報もなく年間1,000件近く指導を行う私たちには只々恐怖でしかありませんでした。幸いにもこれまで罹患することはありませんでしたが感染対策の「1.サージカルマスク2.ゴーグル3.アクリル板設置4.換気5.発熱の確認6.終了後の手洗い」等が標準となりました。デジタル化が進んだ現代ではありますが指導はやはり対面が望ましいと考えます。なぜならその場の空気感というものがあり敏感に感じるデジタルでは表せない感覚があると思うからです。みなさんはどう思われますか。薬剤師 松本 亮二
今回私は「院内オピオイドフォーミュラリーの臨床的有用性評価」というテーマで発表をしました。このフォーミュラリー(以下FM)とは医療機関等において医学的妥当性や経済性などを踏まえて作成された医薬品の使用方針、いわゆる処方のレシピのようなものになります。最近注目をされている分野です。当院はオピオイドフォーミュラリー(以下OFM)をヒドロモルフォン(ナルサス錠®、ナルベイン注®)をベースに構築しておりますが、経済性の面からは最善の選択であるとは言いきれません。そのため、経済性を上回る有益性があるかどうかアンケート調査を通して評価を行いました。その結果、当院のOFMがレスキューや流速の指示等条件付き指示まで含めてセット化していることで、処方からタイトレーションまでの工程がスムーズな点で利便性が高いと評価されています。将来的な展望として、当院のOFMを軸として、更なるブラッシュアップを重ね、誰もが使いこなせるオピオイドの選択肢の一つとして地域へ拡大することができれば病診薬連携がスムーズになるばかりでなく、流通の安定、デッドストックの削減など患者・医療従事者など多方面にとってのメリットに繋がることが期待されています。
薬剤師 橋本 佑太
普段私はAST(抗菌薬適正使用支援チーム)の一員として活動しております。今回はそのAST活動を通して、コメディカルからの検査提案を機に診断に至った2例のSFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndorome;重症熱性血小板減少症候群)患者の症例報告をさせていただきました。SFTSは致死率が非常に高い、ダニが媒介するSFTSウイルスによる新興感染症ですが、ヒト‐ヒト感染が報告されていることから、感染対策面においても早期診断が望まれる疾患です。しかしながら、診断検査が行政検査となる手間等から、疑似症であっても確定的要素がなければ検査自体行われないことも少なくありません。そこで今回はコメディカル目線でSFTSを疑ったポイントを整理し、チーム医療でSFTSを見逃さない体制作りの一助になればという想いで発表をさせていただきました。SFTSは特徴的な血液所見の他に消化器症状が高率で見られることや、SFTSウイルスに感受性の高いネコとの接触や好発時期との一致、ダニの刺し口の有無で除外診断できない点などを意識し、疑わしい場合には積極的な検査をお勧め致します。
診療放射線技師 田中 美沙紀
【目的】BT法では上大静脈からのアーチファクトによりオートスタートした例がみられたため、新たな造影方法として希釈TBT法を導入するための撮影方法を検討した。 【方法】装置の設定をmanualにした状態で一連の造影剤を注入し、希釈割合の違い(2:8および3:7)によるTECの形状を比較した。また、test bolusの形状からmain bolusのピークを推定しトリガー位置を設定したのち、実際のCT値を測定した。 【結果】希釈割合3:7ではTECはなだらかに上昇しピーク時間を決定できるが、2:8ではピーク時間を決定できない例があった。また、main bolusのピーク時間を推定し一連の造影剤注入時間と相関関係があることを確認後、トリガーはtest bolusの立ち上がりに決定した。希釈TBT法でのCT値は従来のBT法と比較して大きな差は見られなかった。 Delay time(s)=[test bolus~main bolus]注入時間-撮影時間/2-2 【考察】終了位置のCT値がいずれも低いのは、main bolusのTECがピークを境に左右対称ではなく、ピーク以降の傾きが大きいためと思われる。また、総造影剤量が増加しているため、test bolusの立ち上がりでトリガーをかけることで希釈割合を2:8に減らすことも可能になると思われる。
JCHO地域医療総合医学会に参加して 2階病棟 助産師 中村 裕香里
学会への参加はJCHOの前進である全社連を通し4回目となり、北海道、東京2回、そして、今回地元熊本での開催でもあり非常に思い出深い学会となりました。 2019年から「産科混合病棟看護師における周産期ケアの困難感に関する調査」というテーマに取り組み、初めてのポスター発表でした。少子化により産科を有する混合病棟は増加し、コロナ禍という状況も加わりケアや業務はさらに複雑化しています。発表後に他施設のスタッフと、それぞれの施設の産科混合病棟の現状や問題点、コロナウイルス感染症産婦対応の取り組みについて情報交換を行うことができました。初めてのポスター発表でしたが、ポスターセッションの利点である距離感の近さを実感しながら有意義な時間を過ごすことができました。また、地元開催であり、当院職員を含めた沢山のJCHOスタッフの協力のもと学会運営が行われていることを間近に感じた学会でした。この場をお借りしてサポートをしていただいた皆様に感謝申し上げます。